夢の考察

 

何かに選ばれたようだ。自分であって

自分でないような者がだ。周りの風景は

ひどくボヤけている。霧がかったというか

湯気だらけの風呂のなかのようだ

そういえば、湿気もひどい

不快感が全身をつつむ。

 


そんな中、年配の男性と思われる

顔の見えない影に向こうの方向へと

さとされる。顔を確かめようとすれば

確かめられるかもしれないが、

そんな気分にはなれない。つまるところ

興味がないのだ。いやっというよりは

そんな事に気を使いたくないのだ

年配といっても、自分と思われる自分も

46の男だ。中年もいいところ。年配と

あまり変わらない。少し先の未来だ

確かめたくないのは未来を見たくないのかも

しれない、そこにポジティブな何かを

見出せないのだ

 


ふと気づくとワタクシの前には

電車の駅にあるような銀色のアルミなのか

鉄なのかの自動改札と呼ばれるゲートがあり

行く手を塞いでいた。前には進めない

かといって飛び越える勇気も気力もない

首から下がったストラップに気づくと

同時にストラップの先にある

ICカード付きのゲートを解除できる証を

このゲートの手前にある読み取り口に

かざして、その先へ毎日のように入っていた

記憶が頭の隅っこから蘇ってきた

 


不安が襲ってきた。自分はこのゲートを

くぐれないような気がしたからだ

予感は当たった。首から下がった証を

ゲート手前の読み取り口にかざした途端

ビッーという嫌な音が霧がかったその空間

の中 全体に鳴り響いた。普通、音は壁があれば反響すると思ったが、不思議と今いるこの空間には壁がないように感じた。どこまでも

音が広がっていく感覚に陥った

それは永遠に思えた

 


顔の見えない年配の男がいっそう近づいてきた

自分の首から下がった証を確かめる為だ

その男は証をよくよく目で確認している

上から斜めから下からと その証を確認している

オッといった表情になった。どうやら

証におかしなところがあったらしい

それは証に押された赤い門の先にある

組織が付けたと思われるハンコウの

ようなもの。それが他と違うらしい。

おかしいのだ。そのおかしさというは

自分には分からない。それがおかしいと

感じているのは自分でなく目の前にいる

年配の男だからだ。でもそれは確かに

おかしい。年配の男がそう思うのなら

そうに違いないと自分も思うからだ

 


若い時に当たり前にできていたことが

今はできなくなったと感じることが多く

なった。ちょっと前までは考えられ

なかったことだ。汚い話だが飯を食ってると

たまにこぼすようになり、知らないうちにヨダレが出てくることもあり、情けなさを

通り越してくる。これが老いなのかとも

思うし、これからこれにいろいろと

ネガティブなものが加算され重しになっていく

ことは想像に難くない

40を越えた辺りで自死する人の気持ちが

少し分かるような気にもなる

気にもなるだけで、実際 自分で自分という

行為は誰でもできるわけじゃない

相当だ。とてもじゃないが自分には

できない。それが弱さだというのてあれば

それでいい。弱さなんてコトバは自分ではない

他人が他人に対して使う、かなり気まぐれな

実態のないどーでもいいコトバだからだ

 


もともと自分には才能や器用さは

なくそれを埋めるためにコツコツと

やってきた。やってきたつもりだった

それしかできなかったからだ

しかしそれも怪しくなってきた

コツコツもできなくなりそうだ

周りはもっとすんなりとうまく

やっているような

気がしてくる。この目の前の年配の男

なんかもそうだ。自分にはそれさえも

できないのかと思うと、黒より暗い

大きな塊のようなものが空から

降ってきて自分を包み込み息ができなくなる

やうな感覚におちいる

 


周りの景色はまるでビデオを早送りした

かのように次々と流れていく

意識が肥大化しバケモノのようなものになり

ボッーとするのも許されない

そんな中にあり

常に緊張を強いられる。無駄に繊細なのだ

気に留めなければ随分と楽なのかもしない

しかしそれはできない

それでいて何も変わってないことも

たくさんある。おそらくそれは縄文時代

ような太古と言われる前の時間から

変わっていない。

 


そう思うと吐き気がしてくる